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自閉症を叱って育てる [自閉症 雑文]
自閉症を叱って育てる
しかる。とは「叱る」と書く。たまに、「叱る」と「怒る」を
ごちゃ混ぜに使う人がいる。
教育に必要なのは「叱る」であり、「怒る」ではない。
「叱る」は、相手の非を指摘、説明し、きびしく注意を与える意。
腹をたてているわけではないので、「優しく叱る」という表現も
可能と辞書にはある。
ちなみに「怒る」とは、不満・不快なことがあって、がまんできない
気持ちを表す。腹を立てる。とある。
注意という行為は、単なる表現ではない。確実に相手に伝えてこそ、
成り立つ行為である。
逆に、「怒る」とは、腹を立てている自分が、我慢できずに表出して
しまっている。単なる表現である。しかも、怒るなどの、情緒系表現の
始末の悪さは、単なる表現にとどまらず、気持ちをくんでくださいとか、
わかってほしい。などという、都合の良い気持ちが含まれていることが、
よく周囲のひとを不愉快にさせる一因だと、ぼくは考えている。
兎にも角にも、怒る という行為は、教育でも療育でも、全く必要がない。
さて、「叱る」。である。「叱る」の派生語として「叱咤激励」という言葉
がある。辞書では、大きな声で励まし、元気づけることとある。
ぼくは、例のごとく、勝手に辞書を書き換えて使用している。
それは、こうである。
大きな声で励まし、ちゃんと行動してもらうこと である。
ただ、勘違いしないでほしい。ただ、大きな声で叱咤激励すれば、自閉症が
ちゃんと行動できるわけではない。あたりまえだが、聴覚に感覚過敏をもつ
自閉症がほとんどであるし、ことばの理解や表出、コミュニケーションに大きな
ハンデを持っているのが自閉症である。ちなみに定型の子どもに対してでも、
ちゃんと叱ることは難しい。しかも、相手は自閉症である。そのギャップを
埋めるのが、専門性と技術であると考えている。